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A氏が立てた目標のなかでいちばん重要だったのは、DOSゲームを叩きのめして、ベストセラーリストから追い払うことだった。
聞くところでは、5.0を承認できるのは、G氏自身とまではいかなくても、それなりに地位のある重役だけだという。
そこまで高い評価になると、昇進や大量のストックオプションがともなうことになるからだ。
こうした評価や会社組織の頻繁な再編成には、興味深い作用がある。
再編成があれば、グループから余剰人員(M社の高い入社基準をなぜか突破してしまった非生産的な社員)を取りのぞく機会が生まれる。
どんな企業だって社員を解雇するのはいやなものだ。
残った社員の士気は落ちるし、人員の補充や、配置転換や、教育のための費用はどうしても高くつく。
M社では、部下の頭数を増やしたがる権力に飢えたマネージャーたちが、再編成のときには余剰人員を喜んで引き受ける。
これに対して、協調性があるように見せかけたいべつのマネージャーたちは、成績の悪い部下をやはり熱心に追い出そうとする。
役に立つ、あるいは才能がある部下を大勢かかえているマネージャーは、彼らに3.0以下の評価をつけたくない。
そこで、役に立たない部下を余分に確保しておいて、ほんとうに必要な部下に吉向い評価をつけられるようにする。
いざ再編成のときには、こうした悪賢いマネージャーたちは、手持ちの駒にゆとりがあるので、ライバルに攻撃されても、すこしばかり役立たずの部下を流してやって捕食性マネージャーの食欲を満足させることができる。
R氏とE氏は5.0をとれず、A氏を妬んだ。
しかも、E氏は社内の公式な指揮系統レベルを見渡して、自分は梯子を少なくとも11段はジャンプアップできるはずだと要求していたが、これはM社では前例のないことだった。
E氏は、自分とR氏は社内で最高のマルチメディア開発者であり、業界全体をDOSベースのゲームから脱却させながら、まったく新しいテクノロジーを創造しているのだと主張した。
R氏はレベル8だった。
こどものころに月へ行こうとしてロボットを作ったことがあるE氏は、レベル5で、レベル10への月面ジャンプを要求した。
給与も権限も統括マネージャー1996年になると、V氏はこの扱いにくいトリオの相手に疲れ果て、母親と妹の死によって感情面でも消耗したために、M社を退社した。
いまでは人間もまるくなって成熟したE氏は、ときどきV氏と昼食をとることがある。
だが、V氏の地位についたほかの大半のマネージャーについても同じことがいえるわけではない。
E氏を管理できると考えた無能なマネージャーのひとりが、R氏だった。
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